一軒家をシェアハウスにすることは可能です。ただしどの家でも成立するわけではありません。成否を分けるのは、①個室を3室以上とれるか、②水回りが入居人数に耐えるか、③その立地に借り手がいるか、④法規制をクリアできるか、の4点です。この4つを満たしたうえで、次に決めるのが誰が運営するかです。工事をして部屋を作っても、入居者が集まらなければ収入は生まれません。本記事では、判断すべき順番に沿って、条件の見極め方から始め方、運営体制の選び方までを整理します。
一軒家がシェアハウスに向いている理由
一軒家は、もともと複数の個室と共用スペースを併せ持つ造りをしています。3LDK・4LDKといった間取りは、居室をそのまま個室として貸し出し、リビング・キッチン・浴室を共用部に充てられます。シェアハウスの構造とほぼ一致しているため、間取りを大きく作り替えなくても転用しやすいのです。
収益の面でも違いが出ます。一軒家を一世帯に貸す場合、賃料はその地域の戸建て相場に縛られます。一方、個室ごとに貸せば複数人から賃料を得る形になり、合計額が一棟貸しを上回ることがあります。とくに築年数が古く、一般賃貸では借り手が付きにくい家ほど、この差が効いてきます。
加えて、シェアハウスの入居者は初期費用の安さや立地を重視する傾向があり、築年数や設備の古さが一般賃貸ほど不利に働きません。一般賃貸の土俵では戦えない家が、貸し方を変えることで収益物件になる余地がある、ということです。
シェアハウスに向く一軒家の4条件
条件1:個室を3室以上とれるか
シェアハウスは共用部を全員で使うため、個室数が少ないと一人あたりの負担が重くなります。2室では、共用部の維持費や光熱費を2人で割ることになり、賃料を下げる余地が小さくなります。3室以上、できれば4〜5室とれる広さがあると収支が安定しやすくなります。
なお、リビングを個室に転用して部屋数を増やす方法もありますが、共用スペースがなくなるとシェアハウスとしての魅力が落ちます。リビングを残したまま個室数を確保できるかが、ひとつの目安です。
条件2:水回りが入居人数に耐えるか
見落とされがちですが、実務ではここが最も詰まりやすいところです。浴室・トイレ・洗面が1つずつしかない家に5人が住むと、朝の時間帯に必ず渋滞します。退去理由になりやすく、稼働率に直結します。
- トイレ:おおむね3〜4人に1つが目安。不足するなら増設を検討します
- 浴室・シャワー:浴室が1つなら、シャワーブースの増設で緩和できる場合があります
- 洗濯機:置き場所と防水パン、給排水の位置を確認します
- キッチン:コンロの口数と冷蔵庫の設置スペースが人数に見合うか
水回りの増設は工事費のなかでも大きな項目です。戸建てのシェアハウス転用費用の相場で項目別の目安を示していますので、あわせてご確認ください。
条件3:その立地に借り手がいるか
シェアハウスの入居者は、通勤・通学の利便性を重視します。一般的には最寄り駅から徒歩10〜15分圏、都心へのアクセスが良い路線沿線が有利です。ただし駅から遠くても、大学・専門学校・大規模な職場が近ければ需要が立つことがあります。距離だけで判断せず、周辺に誰がいるかを見てください。
逆に、車がないと生活が成り立たない立地は苦戦しやすくなります。シェアハウスの入居者層は車を持たない方が多いためです。
条件4:法規制をクリアできるか
シェアハウスは建築基準法上「寄宿舎」に該当し、住宅のまま貸すのとは基準が変わります。延べ面積200㎡超なら用途変更の確認申請が必要になり、200㎡以下でも防火や採光の基準は満たさなければなりません。用途地域によっては、そもそも寄宿舎を設けられない場合もあります。
この部分は判断を誤ると後戻りが大きいため、戸建てをシェアハウスにするのは違法?法規制と満たすべき条件で条文に沿って詳しく解説しています。着工前に必ず確認してください。
4条件を満たさない場合の代替案
すべてを満たす家ばかりではありません。条件を欠く場合は、無理に進めるより別の活用を検討したほうが結果的に得になることがあります。
| 欠けている条件 | 検討したい代替案 |
|---|---|
| 個室が2室以下 | 家具家電付き賃貸として一世帯に貸す |
| 水回りの増設が難しい | 人数を絞った少人数運営、または一般賃貸 |
| 立地に需要が見込めない | 売却も含めて出口を検討する |
| 用途地域で寄宿舎が不可 | 用途変更を伴わない活用に切り替える |
家具家電付き賃貸への切り替えは、シェアハウスほど工事を伴わずに競争力を上げられる方法です。詳しくは空室アパートを家具家電付き賃貸に転換する進め方で解説しています。
始め方の全体像【6ステップ】
- 現況を確認する:延べ面積・用途地域・検査済証の有無・築年を調べます
- 間取りを検討する:個室数と共用部の配置、水回りの増設要否を決めます
- 建築指導課・消防署に事前相談する:必要な工事と設備を確定させます
- 工事費を積算し、収支を組む:想定賃料×稼働率で回収年数を出します
- 運営体制を決める:自主運営・管理委託・借り上げから選びます
- 工事・募集開始:入居者の集客と契約・入居対応に移ります
順番が大切です。工事を先に始めてしまうと、後から法規制や収支の問題が出たときに引き返せません。3番と4番を終えてから着工してください。
収支をどう見るか
シェアハウスの収支は、満室を前提に計算すると必ず外れます。判断に使うべきは稼働率を織り込んだ実質の数字です。個室数が多いほど1室の空室が全体に与える影響は小さくなりますが、そのぶん退去も頻繁に起こります。
また、一般賃貸にはない運営コストが乗ります。共用部の光熱費・インターネット回線・定期清掃・備品の補充などです。これらを差し引いた後で手残りが出るかを見てください。利回りの考え方はシェアハウス投資の利回りの考え方で一般賃貸と比較しています。
運営を誰がやるか:3つの選択肢
ここが最終的に収益を左右します。工事をして部屋ができても、入居者を集め続けられなければ収入は生まれません。
| 方式 | オーナーの手間 | 収入 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 自主運営 | 大きい(募集・審査・清掃・トラブル対応) | 最も高くなり得る | 近隣に住み、時間を割ける方 |
| 管理委託 | 小さい | 稼働率次第で変動 | 収益の伸びしろも取りたい方 |
| 借り上げ(サブリース) | ほぼなし | 毎月定額で安定 | 空室リスクを避けたい方 |
それぞれの費用構造の違いは管理委託とサブリースの違い(費用・リスク・収益で比較)で比較しています。
自主運営でつまずきやすい点
自主運営は手残りが最も大きくなる可能性がありますが、実務の負荷を過小評価しないでください。とくに次の3つが継続的に発生します。
- 集客の継続:1年に何度も空室が出ます。そのたびに募集をかけ、内見に対応する必要があります
- 入居審査:シェアハウスは共同生活のため、入居者同士の相性や生活リズムまで見る必要があります
- 共用部のトラブル対応:清掃、騒音、私物の放置などは放置すると連鎖退去につながります
共用部の維持がなぜ稼働率に直結するのかは、シェアハウス共用部のトラブル対策で具体的に扱っています。
委託先を選ぶときに確認したいこと
管理を委託する場合、委託先が賃貸住宅管理業の登録業者かどうかを確認してください。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第3条は「賃貸住宅管理業を営もうとする者は、国土交通大臣の登録を受けなければならない」と定めており、国土交通省令で定める規模未満の事業者のみが例外とされています。登録業者であれば、業務管理者の配置や契約前の重要事項説明が義務づけられます。
そのうえで、手数料の安さではなく空室を埋める力で比較してください。判断軸は賃貸管理会社の選び方(比較すべき7つのポイント)に整理しています。
初期負担を抑えて始めるなら
ここまでの工程を見ると、一軒家のシェアハウス化には「工事費」と「集客リスク」という2つの負担があることが分かります。どちらも自分で負うのが不安であれば、運営会社が一括で借り上げるサブリース(借り上げ)という進め方があります。
クロスハウスは東京を中心に11都道府県で約3,000室を運営し、稼働率は90%以上を維持しています。1962年築の木造戸建てを借り上げて収益化した実績もあり、一般賃貸では敬遠されやすい築古の戸建ても扱ってきました。借り上げの場合、転用に必要な改修を当社側で担う形をご提案できるケースがあります。
築54年でも収益化:クロスハウスの再生実績
「うちの家は古すぎるのではないか」と感じられる場合も、判断を急がないでください。実際に借り上げて収益化している物件には、次のようなものがあります。




いずれも一般賃貸では借り手が付きにくい築年数ですが、貸し方を変えることで稼働しています。4条件のうち法規制と立地さえクリアできれば、築年数は決定的な要因になりません。借り上げ・管理の実績はこちらをご覧ください。
- 一軒家をシェアハウスにするには何室必要ですか
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目安は3室以上です。2室では共用部の維持費や光熱費を2人で分担することになり、賃料を抑えにくくなります。4〜5室とれる広さがあると収支が安定しやすくなります。ただしリビングをつぶして部屋数を増やすと共用スペースの魅力が落ちるため、リビングを残したまま確保できるかを見てください。
- 今住んでいる家をシェアハウスにできますか
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可能です。オーナーが同居しながら空き室を貸す形もあります。ただし建築基準法上の扱いは同じで、寄宿舎としての基準を満たす必要があります。また同居する場合は、共用部のルールづくりや入居者との距離の取り方を最初に決めておくと運営が安定します。
- トイレや浴室は増設しないといけませんか
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入居人数によります。目安はトイレが3〜4人に1つです。浴室が1つしかない場合はシャワーブースの増設で緩和できることがあります。増設せずに人数を絞る選択肢もありますが、その場合は個室数が減るため収支への影響を確認してください。
- 駅から遠い一軒家でもシェアハウスにできますか
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周辺に需要があれば成立します。大学・専門学校・大規模な職場が近ければ、駅から離れていても入居者が集まることがあります。逆に、車がないと生活できない立地は苦戦しやすい傾向です。距離だけでなく、周辺にどのような層がいるかを確認してください。
- 自分で運営するのと委託するのはどちらが得ですか
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手残りだけを見れば自主運営が最も大きくなり得ますが、募集・審査・清掃・トラブル対応を継続して行う必要があります。近隣にお住まいで時間を割ける方以外は、委託または借り上げのほうが結果的に安定することが多いです。空室リスクを避けたい場合は借り上げが適しています。
- 管理を委託する会社はどう選べばよいですか
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まず賃貸住宅管理業の登録業者かどうかを確認してください。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第3条で、一定規模以上の事業者には国土交通大臣の登録が義務づけられています。そのうえで、手数料の安さではなく空室を埋める力(集客経路の数と入居者層の広さ)で比較することをおすすめします。
- 工事費を負担せずに始める方法はありますか
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運営会社が物件を一括で借り上げるサブリースであれば、転用に必要な改修を運営会社側が担う形をご相談いただけるケースがあります。クロスハウスでも物件の状況を確認したうえでご提案しています。まずは図面と所在地をお送りください。
※サブリース(借り上げ)契約に関するご注意:契約期間中でも、経済事情の変動等を理由に運営会社からオーナー様へのお支払い賃料の減額を請求される場合があります(借地借家法第32条)。オーナー様からの中途解約には正当な事由を要する場合があるほか、免責期間・原状回復や修繕費の負担区分などの条件は、契約時に賃貸住宅管理業法に基づく重要事項説明で書面にてご確認いただけます。
※用途転換時の法令確認:戸建てやアパートをシェアハウス等へ転用する場合、建築基準法上「寄宿舎」に該当し用途変更に伴う建築確認が必要になることや、消防法上の設備(自動火災報知設備・誘導灯等)の設置が求められることがあります。旧耐震基準(1981年5月以前)の物件では耐震性の確認が必要になる場合もあります。可否・費用は物件と所在地の条例により異なるため、所管行政庁や専門家への確認を前提にご検討ください。
まとめ
一軒家のシェアハウス化は、次の順番で判断すると失敗が減ります。
- 個室3室以上・水回りの容量・立地の需要・法規制の4条件を確認する
- 条件を欠く場合は、家具家電付き賃貸など別の活用も比較する
- 建築指導課と消防署への事前相談を済ませてから着工する
- 収支は満室ではなく稼働率を織り込んで見る
- 自主運営・管理委託・借り上げのどれで運営するかを先に決める
とくに最後の運営体制は、工事を始めてから考えるのでは遅くなります。募集の方法まで見通したうえで、着工の判断をしてください。
本記事で引用した条文は、デジタル庁が運営するe-Gov法令検索で確認できます。制度は改正されるため、実際の判断にあたっては最新の条文と所管窓口の見解をご確認ください。
クロスハウスの無料診断でお伝えするのは、次の4点です。
- 転用の可否:法規制と建物条件から、シェアハウスにできるかどうか
- 想定される個室数と賃料:間取りと周辺相場から算出します
- 概算の初期費用:改修と設備でどの程度かかるか
- 借り上げの場合の賃料水準:当社が借り上げるとしたらいくらか
向かない物件の場合は、その理由もお伝えします。

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