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戸建てをシェアハウスにするのは違法?法規制と満たすべき条件

戸建てをシェアハウスにするのは違法?法規制と満たすべき条件

戸建てをシェアハウスとして貸し出すこと自体は違法ではありません。ただし、シェアハウスは建築基準法上「寄宿舎」として扱われるため、一般の住宅を貸すのとは求められる基準が変わります。判断の軸は延べ面積です。200㎡を超える建物を寄宿舎に用途変更する場合は確認申請が必要で、200㎡以下なら申請は不要ですが、寄宿舎としての防火・避難の基準そのものは満たさなければなりません。加えて消防法の設備義務と、自治体独自の条例が重なります。ここを踏まえずに「部屋を仕切って貸すだけ」で始めてしまうと、後から是正指導を受けて改修費が余計にかかることがあります。本記事では、何がどこまで求められるのかを順番に整理します。

なお建築基準法・消防法の適用は建物の構造・規模・立地する用途地域によって変わります。最終的な適否は所管の建築主事・指定確認検査機関、および管轄の消防署にご確認ください。本記事は一般的な考え方の整理として活用してください。なお本文中の条文は、e-Gov法令検索で公開されている建築基準法(昭和25年法律第201号・2026年5月27日施行時点)および建築基準法施行令(昭和25年政令第338号・2025年12月1日施行時点)に基づいて確認しています。

目次

「戸建てのシェアハウスは違法」と言われるようになった経緯

検索で「一戸建て シェアハウス 違法」という言葉が出てくるのは、2013年前後に社会問題化した、いわゆる脱法ハウスの影響が残っているためです。オフィスビルや倉庫を細かく仕切り、窓のない1〜2畳の空間を「シェアハウス」と称して貸す事業者が現れ、火災時の避難が確保できないことが問題になりました。

これを受けて国土交通省は、複数人が独立して居住する形態の建物は建築基準法上の「寄宿舎」に該当するという見解を示しました。寄宿舎は建築基準法第2条第二号で特殊建築物として列挙されており、住宅とは別の用途として扱われます。つまり規制されたのは「シェアハウスという商売」ではなく、寄宿舎に求められる安全基準を満たさないまま人を住まわせることです。基準を満たして運営する限り、戸建てのシェアハウス化は正当な不動産活用です。

実際、築古で一般賃貸では借り手が付きにくい戸建てが、シェアハウスに切り替えたことで稼働するというケースは珍しくありません。判断の順序としては、まず実家の空き家をシェアハウスに転用する流れで全体像をつかんだうえで、本記事の法規制を確認していただくのが分かりやすいと思います。

シェアハウスは建築基準法上「寄宿舎」にあたる

建物は建築基準法で用途が区分されており、シェアハウスは「寄宿舎」に分類されます。一般の一戸建ては「住宅」、アパート・マンションは「共同住宅」で、それぞれ求められる基準が違います。

用途どういう建物か特徴
住宅(一戸建て)一世帯が生活する基準が最もゆるい
共同住宅各戸が独立し、玄関・水回りが専有各住戸単位で区画する
寄宿舎個室があり、水回りや食堂を共用する居室ごとの防火区画・避難が求められる

両者を分けるのは「水回りやリビングを共用しているかどうか」です。個室に専用のキッチン・浴室・トイレが備わっていれば共同住宅寄りの扱いになり、共用であれば寄宿舎と判断されるのが一般的です。ただし判定は自治体によって運用に幅があるため、図面段階で相談するのが確実です。

寄宿舎で基準が厚くなるのは、他人同士が同じ建物で生活するため、火災時に一斉に避難する前提で設計する必要があるからです。家族向けの住宅は「就寝中でも家族が声を掛け合える」ことを前提にできますが、シェアハウスではそうはいきません。この違いが、後述する間仕切壁や報知設備の要求につながります。

用途変更の確認申請が必要になるのは「200㎡超」

戸建てをシェアハウスにする際に最初に確認するのが、用途変更の確認申請が要るかどうかです。基準は延べ面積です。

延べ面積用途変更の確認申請寄宿舎としての基準
200㎡超必要必要
200㎡以下不要必要

根拠となるのは建築基準法第87条第1項です。用途を変更して同法第6条第1項第一号の特殊建築物にする場合に、確認申請の規定が準用されると定められています。そしてその第6条第1項第一号が「別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」と規定しています。

この200㎡という数字は、2019年6月に施行された改正建築基準法で変わったものです。それまでは100㎡を超えると確認申請が必要でしたが、既存建物の活用を促す観点から200㎡に引き上げられました。一般的な戸建ては延べ面積100〜150㎡程度に収まることが多いため、この改正によって多くの戸建てが確認申請なしで転用できるようになりました。

200㎡以下でも「何もしなくていい」わけではない

ここを誤解したまま進めてしまう例が少なくありません。確認申請が不要になるのは手続きの話であって、寄宿舎に求められる安全基準そのものが免除されるわけではありません。申請という形でチェックが入らないぶん、オーナー側で基準を満たしているかを確認する責任が残ります。

後から消防の立入検査や近隣からの通報で発覚し、是正を求められるケースもあります。改修後にやり直すと二重の出費になるため、着工前に確認しておくべき部分です。

寄宿舎として求められる主な基準

防火上主要な間仕切壁

根拠は建築基準法施行令第114条第2項です。学校・病院・ホテル・下宿などと並んで寄宿舎が挙げられており、その用途に供する部分については「防火上主要な間仕切壁を準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない」と定められています。一般の住宅では天井裏で空間がつながっていても問題になりませんが、寄宿舎では火や煙がそこを通って隣室へ回るため、天井の上まで壁を立ち上げて塞ぐ必要があるという考え方です。

実務では、既存の戸建てを転用する際にこの間仕切壁の工事が費用面で最も大きな項目になりやすいところです。壁を作り直すだけでなく、天井を開けて内部まで施工することになるためです。

火災報知設備を入れることで緩和される場合がある

ただし同じ条文には除外規定が置かれています。「自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く」という部分です。この「国土交通大臣が定める部分」を定めた告示により、各居室に煙式の住宅用防災報知設備・自動火災報知設備、または連動型の住宅用防災警報器を設けた場合に、間仕切壁の要件が適用除外となる場合があります。報知設備で早期に気づける状態をつくることで、壁の性能に頼らずに安全を確保するという趣旨です。

この緩和を使えるかどうかで工事費が大きく変わるため、設計者・所管行政庁と早い段階で詰めておく価値があります。適用条件は建物の階数や構造によって異なるので、一般論として「報知器を付ければ壁は不要」と決めつけないでください。

採光・換気・階段・廊下

建築基準法第28条は、住宅・学校・病院とならんで寄宿舎の居室にも採光のための開口部を求めており、その有効面積は居室の床面積の5分の1から10分の1の範囲で政令が定める割合以上とされています。つまり窓のない部屋を居室として貸すことはできません。脱法ハウスで問題になったのはまさにこの点です。また階段の幅・蹴上げ・踏面、廊下の幅などにも寄宿舎としての基準があり、既存の戸建ての階段が基準を満たさないことも起こり得ます。

これらを含めた工事費の目安は、戸建てのシェアハウス転用費用の相場で項目別に整理しています。

消防法で必要になる設備

建築基準法とは別に、消防法の規制がかかります。寄宿舎・下宿・共同住宅は消防法上「(5)項ロ」の防火対象物に区分され、規模に応じて設備の設置義務が生じます。

  • 消火器:延べ面積や階数に応じて設置
  • 自動火災報知設備:規模により義務。建築基準法側の緩和と併せて検討する
  • 誘導灯:避難経路の明示
  • 漏電火災警報器:外壁がラスモルタル造などの場合に検討対象

必要な設備は建物ごとに変わるため、管轄の消防署へ図面を持参して事前相談するのが最短です。着工前に相談しておけば、後から追加工事が発生する事態を避けられます。

自治体の条例・独自基準にも注意

建築基準法と消防法を満たしていても、自治体が独自にシェアハウスの基準を設けている場合があります。一戸あたりの最低床面積、自転車置き場の設置、近隣への周知、届出の要否などが典型です。東京都のように、ワンルーム形式の住宅について独自の指導要綱を持つ自治体もあります。

物件所在地の建築指導課に確認する、というひと手間を最初に入れておくと、後戻りが減ります。

基準を満たさないまま運営した場合のリスク

「小規模だし申請も要らないから」と基準を確認せずに始めた場合、次のようなリスクが残ります。

  • 是正指導・改善命令:入居者がいる状態での改修は工程も費用も膨らみます
  • 入居者募集の停止:是正が終わるまで貸せず、収入が止まります
  • 売却時の評価減:違法状態の建物は買い手が限られ、金融機関の融資も付きにくくなります
  • 火災保険・損害賠償:万一の事故時に、用途と実態の不一致が争点になる可能性があります

いずれも、着工前の確認で避けられるものです。転用の判断そのものについてはシェアハウス経営のメリット・デメリットで全体像を整理しています。

実務上の進め方【5ステップ】

  1. 延べ面積を確認する:検査済証・確認済証・図面で200㎡超かどうかを判定します
  2. 用途地域を確認する:寄宿舎を建てられない用途地域があります。市区町村の都市計画課で確認できます
  3. 建築指導課と消防署に事前相談する:図面を持参し、必要な工事と設備を洗い出します
  4. 改修計画と収支を組む:工事費が確定してから、回収年数で判断します
  5. 工事・届出・募集:完了後に入居者募集へ移ります

特に2番目の用途地域は見落としやすいところです。第一種低層住居専用地域では寄宿舎の建築が制限される場合があり、面積の話以前に転用そのものができないこともあります。

あわせて確認しておきたいのが耐震性です。1981年5月以前に建築確認を受けた、いわゆる旧耐震基準の建物では、他人同士が共同で生活する用途に切り替えるにあたって耐震診断や補強が必要になる場合があります。築年数の古い戸建てを転用する際は、防火の話とあわせて構造面も見ておいてください。

初期負担を抑えて進めるなら借り上げという選択肢

ここまで見てきたとおり、戸建てのシェアハウス転用は「壁・報知設備・消防設備」を中心に、それなりの初期投資が必要です。基準を満たす工事を自己負担で行い、さらに入居者が集まるかどうかのリスクも負う、という形は、初めて取り組むオーナー様には負担が大きいと思います。

クロスハウスは、運営会社が物件を一括で借り上げて毎月定額の賃料をお支払いするサブリース(借り上げ)と、所有と運営を分けてお任せいただく管理委託の両方に対応しています。借り上げの場合、転用に必要な改修や設備の導入を当社側で担う形をご提案できるケースがあり、オーナー様の初期負担を抑えられます。

当社は東京を中心に11都道府県で約3,000室を運営し、稼働率は90%以上を維持しています。1962年築の木造戸建てを借り上げて収益化した実績もあり、築古・変形間取りといった一般賃貸で敬遠されやすい物件を扱ってきました。契約形態ごとの違いは管理委託とサブリースの違い(費用・リスク・収益で比較)で比較しています。

築54年でも収益化:クロスハウスの再生実績

「基準を満たす工事をしてまで転用する価値があるのか」という疑問には、実際の借り上げ実績でお答えします。いずれも寄宿舎としての基準を満たしたうえで運営している物件です。

XROSS方南町1 築古シェアハウス再生実績
XROSS方南町1(杉並区)|木造一軒家|1962年築を2016年に借り上げ(築54年)
pal笹塚1 築古シェアハウス再生実績
pal笹塚1(渋谷区)|木造一軒家|1967年築を2015年に借り上げ
pal高田馬場2 築古シェアハウス再生実績
pal高田馬場2(新宿区)|木造アパート|1965年築を2015年に借り上げ
XROSS三軒茶屋3 築古シェアハウス再生実績
XROSS三軒茶屋3(世田谷区)|木造アパート|1970年築を2017年に借り上げ

これらは築50年前後の木造物件ですが、法令上の要件を満たして改修することで、いまも入居者に選ばれ続けています。借り上げ・管理の実績はこちらで公開しています。

戸建てをシェアハウスにするのは違法ですか

違法ではありません。ただし建築基準法上は「寄宿舎」として扱われるため、住宅のまま貸す場合とは求められる基準が異なります。延べ面積200㎡超なら用途変更の確認申請が必要で、200㎡以下でも寄宿舎としての防火・避難の基準は満たす必要があります。基準を満たさないまま運営すると是正指導の対象になり得ます。

何㎡から用途変更の確認申請が必要ですか

延べ面積200㎡を超える場合に必要です。2019年6月施行の改正建築基準法で、それまでの100㎡から200㎡に引き上げられました。一般的な戸建ては100〜150㎡程度に収まることが多く、この改正で確認申請なしに転用できる範囲が広がりました。ただし申請が不要でも基準の遵守は必要です。

個室に鍵を付けて貸せば共同住宅になりませんか

鍵の有無だけでは判定は変わりません。分かれ目になるのは、キッチン・浴室・トイレといった水回りを各室が専有しているか、共用しているかです。共用であれば寄宿舎と判断されるのが一般的です。判定の運用には自治体差があるため、図面段階で建築指導課にご確認ください。

間仕切壁の工事は必ず必要になりますか

必ずしもそうとは限りません。各居室に煙式の住宅用防災報知設備・自動火災報知設備、または連動型の住宅用防災警報器を設置した場合、防火上主要な間仕切壁の要件が適用除外となる規定があります。ただし適用条件は建物の階数や構造で変わるため、設計者と所管行政庁に早い段階でご確認ください。

消防署への相談はいつすればよいですか

改修計画を固める前、図面ができた段階が適しています。必要な設備が分かってから工事費を積算できるためです。着工後や完成後に相談すると、追加工事で費用が膨らみます。建築指導課への相談と同じタイミングで進めるのが効率的です。

用途地域によってはシェアハウスにできないことがありますか

あります。寄宿舎の建築が制限される用途地域があり、面積の要件以前に転用そのものができない場合があります。第一種低層住居専用地域などが該当し得ますので、市区町村の都市計画課で用途地域を確認したうえで検討を進めてください。

法規制の確認から工事まで任せることはできますか

クロスハウスでは、物件をお預かりして転用の可否を診断し、借り上げ(サブリース)または管理委託の形でご提案しています。借り上げの場合、転用に必要な改修や設備の導入を当社側で担う形をご相談いただけるケースがあります。まずは図面と現況をお送りください。

※サブリース(借り上げ)契約に関するご注意:契約期間中でも、経済事情の変動等を理由に運営会社からオーナー様へのお支払い賃料の減額を請求される場合があります(借地借家法第32条)。オーナー様からの中途解約には正当な事由を要する場合があるほか、免責期間・原状回復や修繕費の負担区分などの条件は、契約時に賃貸住宅管理業法に基づく重要事項説明で書面にてご確認いただけます。

まとめ

戸建てのシェアハウス転用は違法ではなく、基準を満たせば正当な不動産活用です。押さえるべき点は次のとおりです。

  • シェアハウスは建築基準法上「寄宿舎」に該当する
  • 用途変更の確認申請が必要なのは延べ面積200㎡超(2019年6月改正)
  • 200㎡以下でも寄宿舎としての基準は守る必要がある
  • 間仕切壁は準耐火構造が原則だが、報知設備の設置で緩和される規定がある
  • 消防法の設備義務と自治体条例が別途かかる
  • 用途地域によっては転用できない場合がある

順序としては、延べ面積と用途地域を確認したうえで、建築指導課と消防署に図面を持って事前相談するところから始めてください。そのうえで工事費が見えてから、収支が成り立つかを判断すれば、後戻りのない進め方ができます。

本記事で引用した条文は、デジタル庁が運営するe-Gov法令検索で確認できます。制度は改正されるため、実際の判断にあたっては最新の条文と所管窓口の見解をご確認ください。

クロスハウスの無料診断でお伝えするのは、次の4点です。

  • 転用の可否:法規制と建物条件から、シェアハウスにできるかどうか
  • 想定される個室数と賃料:間取りと周辺相場から算出します
  • 概算の初期費用:改修と設備でどの程度かかるか
  • 借り上げの場合の賃料水準:当社が借り上げるとしたらいくらか

向かない物件の場合は、その理由もお伝えします。

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この記事を書いた人

空き家や投資物件のオーナー様向けに、シェアハウス・家具付き賃貸・民泊等への転用で収益を最大化するノウハウをお伝えしています。

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